Photo by Keizo Kioku
Yuumi Domoto, CALM, 2002, paint on canvas
6 Artists
2022年7月2日(土)- 8月31日(水)
12:00–19:00
*日 / 月 / 祝日休廊
*夏季休廊:2022年8月7日-8月15日
出展作家:
泉イネ
清水浩三
椿野成身
マルレーネ・デュマス
寺崎百合子
堂本右美
Marlene Dumas, Blind Folded, 2002-2004, mixed media
拾木 01/もう朽ちたい|朽ちない
2022
acrylic on linen
41.1 x 29.1 x 4.8 cm (frame)
拾木 02/もう朽ちたい|朽ちない
2022
acrylic on linen
28 x 20.7 x 4.8 cm (frame)
拾木 01下描き/もう朽ちたい|朽ちない
2022
drawing on paper
29.3 x 35 x 4.5 cm (frame)
拾木 02下描き/もう朽ちたい|朽ちない
2022
drawing on paper
35 x 29.3 x 4.5 cm (frame)
ぬかれた花 Flower
2022
oil on canvas
91 x 60.6 cm
ぬかれた花と頭部 Flowers and Head
2022
oil on canvas
38 x 45.5 cm
わかれた物体 Parted Objects
2022
oil on canvas
38 x 45.5 cm
わかれた物体 Parted Objects
2022
oil on canvas
38 x 45.5 cm
visions diagram
2022
oil on panel
53 x 65.5 cm
visions diagram
2022
oil on panel
53 x 45 cm
visions diagram
2021
oil on panel
52 x 65 cm
visions diagram
2021
oil on panel
45.5 x 53 cm
Blind Folded
2002-2004
mixed media
69.5 x 58 cm (frame)
Sarajevo Library 1992 #2
2019
black color pencil on paper
77 x 63.3 x 3.5 cm (frame)
CALM
2002
paint on canvas
131 x 162 cm
Photo by Keizo Kioku
お問い合わせは mail@gallerykoyanagi.com までご連絡ください
Arisa Kumagai, You or I, 2022, oil on panel / letterpress printing on paper, framed, 195 x 97 cm / 15.3 x 21.4 cm
熊谷亜莉沙|私はお前に生まれたかった
2022年4月16日(土)- 6月25日(土)
12:00–19:00
*4月16日(土)作家在廊
*日 / 月 / 祝日休廊
この度ギャラリー小柳では、2022年4月16日(土)から6月25日(土)の会期にて熊谷亜莉沙の個展『私はお前に生まれたかった』を開催いたします。
2020年に国立新美術館で開催された「シェル美術賞 アーティスト・セレクション2020」で熊谷は自他の加害性の象徴として陶器の豹を描いた作品を発表しました。
前に進むことを決心した作家は、自らの手でその豹を破壊、それを描きました。約3年ぶりとなる今回の個展では、その作品を中心に全て新作で構成されます。
人を傷つけたいという欲求がある。
あるいは他者そのものを自分の一部だと思いたい。
漠然とした復讐心があった。
それは生まれついて私の中にあるようだった。
発見は、絶望と同時に霧が晴れたような気持ちをもたらした。
私は私を破壊し続けることでしか生きていけない。
自身の加害性から逃れられないのならば、
常に自身を破壊し進むこと、が一つの答えだった。
それが、私自身の全ての倫理と道徳にもなりうる。
熊谷の作品の出発点には常に自身のバックグラウンドが色濃く反映され、富裕と貧困、生と死、愛と憎しみという非合理的で矛盾に満ちた人間のありようや、その表裏一体の感情や姿に焦点を当て制作されています。
「熊谷が描き出すのは、「美しいもの」の解像度を上げた時に現れる棘−−禍々しさの領域である。それは、美や愛、幸福といった、私たちの生を取り巻く肯定的な世界が、目まぐるしく推移する消費社会や、性差による力の不均衡など、危うい基盤の上に立つ儚く脆いものであることを暗示する。」(藪前知子 「シェル美術賞 アーティスト・セレクション2020」 推薦コメント)
卓越した写実表現で描かれる不穏な存在感をたたえた作品は、熊谷のパーソナルな感情や経験、自身の過去と現在に向き合うことで生まれ、個人的な背景を超えた強いエネルギーで鑑賞者の内部に入り込んでいきます。本展では鑑賞者に豊潤な想像力を喚起させるテキストが併置され、熊谷の創作に新たな展開を予感させています。
展覧会の初日、4月16日(土)は作家在廊予定です。
ぜひお立ち寄りいただけますようお願いいたします。
Arisa Kumagai, You or I, 2022, oil on panel / letterpress printing on paper, framed, 195 x 97 cm / 15.3 x 21.4 cm
Photo by Keizo Kioku
Viewing
Christian Marclay|Faces
2022年3月19日(土)- 4月9日(土)
12:00–19:00
*日 / 月 / 祝日休廊
Christian Marclay|Voices
2021年11月24日(水)- 2022年2月26日(土)
[冬季休廊:12月26日-2022年1月10日]
12:00–19:00
*日 / 月 / 祝日休廊
ギャラリー小柳では、2021年11月24日(水)から2022年2月26日(土)の会期で、クリスチャン・マークレーによる個展を開催いたします。
「Voices[声]」と題された今回の個展では新作のコラージュと木版画の技術を取り入れた大型作品が発表されます。それらは、マークレーがこれまで続けてきた、アートとポップカルチャーから見出した素材をサンプリングし、サウンドとイメージの関係を考える試みに連なるものです。
今回発表されるコラージュはすべて昨年マークレーがロックダウンを経験した際につくり出されたものです。
「コラージュのこの新しいシリーズは2020年の初めてのロックダウン期間に制作されたもので、その当時パンデミックにより私はロンドンのスタジオでひとり作業することを余儀なくされました。これらの作品群は私たちの誰もがその時、そして今でも感じている、パンデミックや民主主義の衰退、独裁的なリーダーの出現や集団的な人種差別、さらには環境破壊などからもたらされる恐れや不安を映したものです。」
《Toxic Talk[害のあることば]》と題された一連のコラージュでは、漫画やコミックから巧妙に切り出された怒った横顔のイメージが両端に配され、それぞれの口から出ているくねくねとしたラインが互いに絡み合っています。それらのラインは声にかたちを与え、その声は私たちに恐れを想起させ、恐れはしばしば怒りへと導かれます。
恐れは鮮烈なコラージュ《Collective Emotion (1)[集合的な感情]》のテーマでもあります。漫画やコミックから集められた叫んでいる無数の顔をまるでコーラスのように赤い背景にコラージュした本作。積み重なった恐れがアンサンブルを成し、不安の集合体を暗示するかのようです。
本展のもうひとつのハイライトである木版画を用いた3点の大型作品は、デジタル技術と伝統的な手法を組み合わせて制作されました。やはり漫画やコミックからとられた小さなコラージュを原画とし、スキャンして拡大されたイメージを、木片を集積圧縮したOSB合板にコンピュータ制御で機械的に彫って木版をつくります。木版はエッチングの圧延ローラーにかけられ、合板の木片のパターンがもつ表現豊かでユニークな模様を作品に与えます。これらの木版画のシリーズは、ノルウェー出身の画家エドヴァルト・ムンクの代表作かつ近代美術の名作でもある《叫び》(1895年)のリトグラフに触発されたものであり、マークレーの《Scream[叫び]》のキャラクターたちは目には見えるが聞くことのできない、拡がっていくトラウマを表しています。
マークレーの最新の「グラフィック・スコア[図案楽譜]」の《No!》もまたコミックのコラージュで構成されています。《Manga Scroll》(2010年)など先行するグラフィック・スコアではオノマトペが本来もっているアクションから切り離されていたのに対し、《No!》では発声の仕方、表情による表現、からだの動きが演奏者のパフォーマンスを促すようにつくられています。
この新作のグラフィック・スコア《No!》は、現在東京都現代美術館で開催されているマークレーにとって初めての日本の美術館での大規模個展「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」展(2021年11月20日〜2022年2月23日)の関連企画でボアダムスのEYEによって、また小田原文化財団 江之浦測候所でのマークレーのパフォーマンス・プロジェクト「Found in Odawara」(2021年11月27日、28日)では巻上公一によって演奏されます。
クリスチャン・マークレーは1955年アメリカ・カリフォルニア州に生まれ、スイス・ジュネーヴで育ちました。ボストンのマサチューセッツ芸術大学とニューヨークのクーパー・ユニオンに学び、1979年にレコードとターンテーブルを楽器として用いたパフォーマンスを開始。これはターンテーブルを楽器として用いた最も早い例のひとつとされています。1980年代以降は即興的なパフォーマンスのほか、聴覚と視覚の結びつきを探る作品を映像、写真、彫刻、絵画、版画などメディアを往還してつくり続けています。
マークレーは世界の主要な美術館で展覧会を開催しており、近年の個展としてはロサンゼルス・カウンティ美術館(2019年)、バルセロナ現代美術館(スペイン/2019年)、アールガウ美術館(スイス/2015年)、パレ・ド・トーキョー(フランス/2012年)、ホィットニー美術館(アメリカ/2010年)、MoMA PS1(アメリカ/2009年)、パリ音楽博物館(2007年)、ストックホルム近代美術館(スウェーデン/2006年)、テイト・モダン(2004年)などがあります。2010年には古今東西の映画から時計や時間を表す場面をコラージュして現実の時間と同期する24時間の映像作品《The Clock》を第54回ヴェネチア・ビエンナーレで展示し金獅子賞を受賞。本作は世界各地の美術館で展示され高い評価を得ました。また音楽の分野でも重要な活動を継続しており、ジョン・ゾーン、エリオット・シャープ、ソニック・ユース、スティーブ・ベレスフォード、オッキュン・リー、大友良英ら数多くのミュージシャンと共演しています。
橋本晶子|I saw it, it was yours.
2021年9月11日(土)- 10月30日(土)
12:00–18:00
*日 / 月 / 祝日休廊
*10月22日(金)、28日(木)は休廊いたします。
この度、ギャラリー小柳では橋本晶子の個展「I saw it, it was yours.」を9月11日(土)から10月30日(土)の会期で開催いたします。
橋本晶子は1988年生まれ。2015年に武蔵野美術大学修士課程を修了。膨大な作業量によって描かれた鉛筆画を空間に配したインスタレーションを展開しています。
近年では、2020年に資生堂が企画する公募展 第14回 shiseido art egg に選出され、資生堂ギャラリーにて展覧会『Ask him』を開催、見事 shiseido art egg 賞を受賞したほか、2019年にはパリのレジデンス施設「Cité internationale des arts」の自身の居住スペースにて個展『Will it
rain?』を開催しました。
橋本の作品は一見、白い紙に描かれた鉛筆画が家具や照明などと共に、仄暗い空間に配されているだけのように見えます。緻密に描かれた「鉛筆画」は時に僅かに折られ、あるいは一部が隠されて、壁にテープで軽くとめつけられています。
橋本が見せようとしているのは、それら要素を緩やかに繋げて見せた先にあるものであり、作品を見る私 たちと私たち自身の影が重なることによって現れる「絵」でもあるのです。
本展では10 点の新作と共に『Ask him』で展示した、トレーシングペーパーにカーテンを描いた巨大な 鉛筆画に新作を組み合わせ、ギャラリーに新たな風景を作り上げます。
是非ご高覧いただき、橋本晶子の作り上げる空間を体験いただけますと幸いです。
ご来廊時のお願い
・感染拡大防止のため、ご来廊いただいた際にお名前・ご連絡先のご記入をお願い致します。
・マスクの着用と、入場前に手指のアルコール消毒のご協力をお願い申し上げます。
・発熱や咳等の症状があるお客様はご来廊をご遠慮くださいませ。また、入場時の検温で37.5℃以上の場合、ご入場をお断りさせていただきます。
弊社の対応について
・スタッフは全員、毎朝体温測定を行ない健康状態を確認のうえ出勤しております。
・定期的に扉や窓を開け換気いたします。
・スタッフは手洗いや手指の消毒を励行し、マスク着用でご対応いたします。
・飛沫防止のためギャラリーレセプションにパーティションを設置させていただきます。
・お客様がお手を触れる場所の消毒を定期的に実施いたします。
Photo by watsonstudio
still life 静物
2021年6月4日(金)- 7月31日(土)
12:00–18:00 *緊急事態宣言に伴い、営業時間を短縮しております。
*日/月/祝日休廊
出展作家:
ダイアン・アーバス
ミヒャエル・ボレマンス
マーク・マンダース
杉本博司
須田悦弘
ユアサエボシ
この度ギャラリー小柳では、2021年6月4日(金)から7月31日(土)の会期にて 6名の作家によるグループ展「still life 静物」を開催いたします。
初出展となるユアサエボシは大正生まれの架空の三流画家、ユアサヱボシ(1924−1987)に擬態し作品を制作しています。 ユアサは作品によってこの三流画家の人物像を肉付けし、時間を巻き戻してその架空の人生のパーツを埋めてゆきます。 今回は架空のユアサヱボシ、実在のユアサエボシ双方にとって初めての静物画を3点発表いたします。
杉本博司は京都服飾文化研究財団のコレクションを彫刻として撮ったシリーズ「スタイアライズド・スカルプチャー」から1点、 特別な被写体を正面から捉えたポートレイトで知られるダイアン・アーバスは、彼女が撮影した作品のなかではめずらしく静物をモティーフとした作品を、 現在、東京都現代美術館*で個展を開催しているマーク・マンダース、彼と金沢21世紀美術館で二人展を開催したミヒャエル・ボレマンスもそれぞれ1点ずつ作品を展示いたします。また、国内外の美術館や芸術祭で発表を続ける須田悦弘は新作を展示予定です。
是非会場でご覧下さい。
*現在、緊急事態宣言発令のため全館臨時休館中ですが、6月1日(火)より再開となります。最新情報は東京都現代美術館ホームページをご確認ください。
ご来廊時のお願い
・感染拡大防止のため、ご来廊いただいた際にお名前・ご連絡先のご記入をお願い致します。
・マスクの着用と、入場前に手指のアルコール消毒のご協力をお願い申し上げます。
・発熱や咳等の症状があるお客様はご来廊をご遠慮くださいませ。また、入場時の検温で37.5℃以上の場合、ご入場をお断りさせていただきます。
弊社の対応について
・スタッフは全員、毎朝体温測定を行ない健康状態を確認のうえ出勤しております。
・定期的に扉や窓を開け換気いたします。
・スタッフは手洗いや手指の消毒を励行し、マスク着用でご対応いたします。
・飛沫防止のためギャラリーレセプションにパーティションを設置させていただきます。
・お客様がお手を触れる場所の消毒を定期的に実施いたします。
HIROSHI SUGIMOTO | OPTICKS
2021年3月26日(金)- 5月1日(土)
12:00–19:00
*日/月/祝日休廊
この度、ギャラリー小柳では杉本博司の個展『OPTICKS』を、3月26日(金)から5月1日(土)の会期で開催いたします。本展では、去年京都市京セラ美術館で発表された大判カラー作品「Opticks」シリーズから4点を展示いたします。本シリーズは、アイザック・ニュートンのプリズム実験の再現から始まり、最新技術を駆使し、杉本が15年間かけて完成させたものです。
1704年に出版されたニュートンの『光学(OPTICKS)』により、白色だと思われていた太陽光が、プリズムによって赤、橙、黄、緑、青、藍、紫など複数の色から構成されていることが発見されました。杉本は、ニュートンが発明した観測装置を改良し、プリズムを通して分光させた色そのものをポラロイドフィルムで記録しています。(*) 色と色の隙間に立ち現れる無限の階調を焼き付けたポラロイドをデジタル技術で大判プリント作品に仕上げています。
杉本は「私は捨象されてしまった色の間でこそ世界を実感することができるような気がするのだ。そして科学的な認知が神を必要としなくなった今、そこからこぼれ落ちる世界を掬い取るのがアートの役割ではないかと思うようになった。私は余命幾ばくもないポラロイドフィルムを使って、この色と色の隙間を撮影してみることにした。」と語っています。モノクロの写真作品で知られる杉本にとって初の試みとなる、「光を絵の具として使った」圧倒的なカラーフィールドを体感ください。
*ポラロイド社は2001年、2008年に経営不振により倒産した。その後2017年に債権者が立ち上げたインポッシブル・プロジェクトにより事業は引き継がれたが、本来のポラロイドフィルムは2008年に製造中止された。本展覧会の作品は2009−2010年に最後の在庫フィルムで撮影されたものです。
Opticks
ニュートンによるプリズム実験の再現を始めてから今年で15年になる。毎年冬になると日の出の位置がプリズムの正面に近づいてくる。冬の冷気を通過してくる光は分光され、薄闇の観測室に導かれ、白漆喰の壁に拡大されて投影される。私はその色の階調の奥深さに圧倒される。光の粒子が見えるような気さえするのだ。そしてその一粒一粒の粒子が微妙に違う色を映している。赤から黄、黄から緑、そして緑から青へと無限の階調を含んで刻々と変化していく。私は色に包まれる。特に色が闇に溶け込む時、その階調は神秘へと溶け込んでいくようだ。
私はポラロイドの小さな画面の中にもその微細な粒子が閉じ込められているであろうことに気がついた。数年にわたる実験の結果、私自身が色の中に溶け込むことができるような十分な大きさを持った色画を作ることに成功した。私は光を絵の具として使った新しい絵(ペインティング)を描くことができたように思える。
杉本博司
ルイザ・ランブリ
2021年1月15日(金)- 3月19日(金)
12:00–19:00
*日/月/祝日休廊
ご来廊時のお願い
・感染拡大防止のため、ご来廊いただいた際にお名前・ご連絡先のご記入をお願い致します。
・マスクの着用と、入場前に手指のアルコール消毒のご協力をお願い申し上げます。
・発熱や咳等の症状があるお客様はご来廊をご遠慮くださいませ。また、入場時の検温で37.5℃以上の場合、ご入場をお断りさせていただきます。
弊社の対応について
・スタッフは全員、毎朝体温測定を行ない健康状態を確認のうえ出勤しております。
・定期的に扉や窓を開け換気いたします。
・スタッフは手洗いや手指の消毒を励行し、マスク着用でご対応いたします。
・飛沫防止のためギャラリーレセプションにパーティションを設置させていただきます。
・お客様がお手を触れる場所の消毒を定期的に実施いたします。
Untitled (21st Century Museum of Comtemporary Art, #03, #02), 2007
(left) Michaël Borremans, Fire from the Sun (single figure standing), 2018, oil on canvas
(center) Mark Manders, Unfired Clay Head on Wooden Floor, 2015, painted bronze, wood, glass
© Michaël Borremans|Mark Manders / Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp and Gallery Koyanagi, Tokyo
(right) Hiroshi Sugimoto, Gemsbok, 1980, gelatin silver print © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
Gallery selection|
ミヒャエル・ボレマンス
マーク・マンダース
杉本博司 — ジオラマ
2020年9月16日(水)- 11月28日(土)
*10月27日(火)は展示替え作業のため休廊いたします。
*10月28日(水)から一部展示作品を変え再開いたします。
予約制についてはこちらをご覧ください。
杉本博司|Past Presence
2020年3月14日(土)- 8月29日(土)[夏季休廊:8月11日-15日] *会期延長となりました。
*ギャラリー小柳は6月9日(火)より当面のあいだ予約制にてギャラリーを再開いたします。
予約制についてはこちらをご覧ください。
この度、ギャラリー小柳では3月14日(土)から8月29日(土)の会期で、杉本博司の個展『Past Presence』を開催いたします。
ギャラリー小柳での個展は、2014年以来6年ぶりとなります。
本展では、国内初公開となる「Past Presence」シリーズから新作4点を展示いたします。本シリーズでは、杉本の長年のテーマである時間と歴史を20世紀のモダン・マスターズの作品群によって探求しています。ジャコメッティ、ブランクーシ、ピカソ、マグリットなど、それぞれの作品を写した写真は彼の「建築」シリーズと同様に、無限の二倍の焦点(twice as infinity)で撮影されています。意図的にぼかされた写真はアーティストの理想的なフォルムや、脳内で発想されたイメージそのままの姿を浮かび上がらせ、私たちはそのなかに無意識のうちに馴染みのあるかたちを見出そうとします。杉本の表現はこのように私たちの視覚的記憶を呼び起こし、イメージとはどのように記憶されているのか——イメージは正確な記憶として想起されるのか——杉本は見る者に作品を取り巻くディテールを取り除き、作品本来の概念や本質を顧みるよう投げかけます。
なお、細見美術館では4月4日(土)より「飄々表具 —杉本博司の表具表現世界—」、京都市京セラ美術館では5月26日(火)より「杉本博司 瑠璃の浄土」が開催中です。また、森美術館でのグループ展「STARS展:現代美術のスターたち——日本から世界へ」にも参加いたします。あわせてご高覧頂ければ幸いです。
Past Presence
2013 年、MoMA からの彫刻庭園撮影のコミッションが来た。フィリップ・ジョンソンの設計になるこの 彫刻庭園には、モダニズム彫刻の名作が並べられている。私は「建築」シリーズのコンセプトに準規して 彫刻庭園の撮影に臨む事にした。数ある名彫刻の中で、まず私の眼を引いたのはジャコメッティの彫刻だ った。その研ぎすまされたフォルムは、人間の肉体から肉の部分を削ぎ落して、さらに残るもののみを、 極限の状態で表すことに成功しているように思われた。私は私の写真によるアプローチが、すでにジャコ メッティの彫刻においては成就されているのではないのかと、思わざるを得なかった。私はこのジャコメッティの彫刻に二度カメラを向けてみた。昼日中の白日の時、そして夕暮れ時の薄明の時。私は能舞台上に現われる、二人の人物像を思った。能舞台では死者の魂が復活して現われる様を描く。前シテと呼ばれ る前半では、土地の者が死者の変わり身となって、死に至った無念の情を述べる。そして後シテの後半では、その死者の亡霊が再び現われ、成仏できずにいる苦渋の舞を舞う、という設定だ。演劇のうちに死者の姿を垣間みる、そのリアリティーがどれほどのものであるかは、演技の迫真力とともに、鑑賞者の心眼の力量にも負う所が多い。私はジャコメッティを写しながら、能舞台を見る心持ちがした。能舞台では過去が今として(Past Presence)蘇るからだ。私はこのジャコメッティからの啓示を得て、次々に他の作品群にも挑んでいった。
杉本博司
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