photo by OMOTE Nobutada

中村裕太 柳まつり小柳まつり

2017年11月18日(土) – 2018年1月27日(土)

 

この度ギャラリー小柳では、中村裕太による個展「柳まつり小柳まつり」を開催いたします。本展は、関東大震災や第二次世界大戦という混 乱を経て屈折した近代化を遂げた銀座の都市空間を、ギャラリー小柳の前身である 1852 年創業の陶器店・ 陶舗小柳の歴史を紐解く中で概観し、資生堂をはじめとする銀座の商店建築の変容とその店頭に並べられ た商品がいかに人々の生活を理想的に演出してきたのかを当時の資料や商品を再構成したインスタレーシ ョンとして表現します。

 

中村裕太は 1983 年に東京で生まれ、現在は京都を拠点に活動する作家です。京都精華大学芸術研究科の 博士課程においては、タイルや陶磁器の歴史を人文学的観点から研究しました。その後、アカデミックで 精緻なリサーチを基盤とした考察から作品を制作するスタイルが評価され、「あいちトリエンナーレ 2016」 や「第 20 回シドニー・ビエンナーレ」(2016 年)などの主要な国内外のグループ展に招かれるなど、近 年最も注目されている若手作家の一人です。史実や文化の在り様を作品に落とし込む客観的な視点は中村 独自のものであり、中村の手で収集された陶片、古書、古い写真、絵はがき、建築図面といった一次資料と、中村の手によりつくり出されたものとで再構成されたオブジェや空間には、重厚な物語が静かに息づいています。

 

展覧会タイトルに含まれる「柳まつり」とは、銀座通りの街路樹で現在も銀座のシンボルとして親しまれ ている柳の木をかんむりとした、銀座界隈で催されたお祭りでした。対して「小柳まつり」とは、陶舗小 柳の5代目店主・小柳嘉一郎(1922-2011)が、この「柳まつり」に掛けて洒落っ気たっぷりに企画した キャンペーンで、自ら「柳まつり小柳まつり」と記した短冊をデザインし、店頭の商品を飾り立てました。 中村は展示構成を「柳まつり」と「小柳まつり」の 2 つのパートに分け、「柳まつり」では 4 つの店舗外観 のファサードに着想を得たショーケースに商品や資料を収め、「小柳まつり」では食卓を描いた静物画の ように短冊と陶器を配置した棚を制作します。

 

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press release
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